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  • 家計の把握について(財政状態編)

    我が家では家計簿とあわせて家計のBSも作成している。収支状況だけでなく財政状態も管理してはじめて財務管理と呼べるのだ。

    BSの作り方は単純だ。全ての金融資産と金融負債をそれぞれリストアップするだけ。資産合計と負債合計の差額が純金融資産だ。しかし、正しく作成できている他人の事例を見たことがない。

    金融資産には銀行口座残高に証券口座残高、idecoのほか、貯蓄性のある生命保険の解約時返戻金、退職金DC、退職金DBもリストアップする。

    金融負債にはローン残高のほかに、クレジットカードの使用残高を「未払金」として計上。信用取引をしている場合は、建玉額だけでなく、建玉に係る諸経費(金利・管理費・権利処理手数料等)の額も未払費用としてきっちり計上する。

    さらに、売却時に課税対象となるキャピタルゲイン部分に対しては、かかる税金を計算して「繰延税金負債」として負債計上する。これを税効果会計と呼ぶ。

    「我が家のBSを作ったぞ」という人で、信用諸経費の未払費用計上、キャピタルゲインに対する税効果会計を計上している人を見たことがない。本当の純金融資産はこれらをきちんと計上して初めて分かるのだ。

    資産が増えるにつれ、残高把握の作業は時間を要すが、私は、プログラミングのWebスクレイピングを駆使して、我が家のBSを毎日作成している。

  • 家計の把握について(支出編その2)

    家計簿についてだが、次の10費目に分けることをお勧めする。

    「食料」、「住居」、「光熱・水道」、「家具・家事用品」、「被服及び履物」、「保健医療」、「交通・通信」、「教育」、「教養娯楽」、「その他」

    こう分けることで、総務省の家計調査における消費支出と比較が可能になる。

    なお、総務省の家計調査を見るときは次の3点に注意が必要だ。

    第1に各家庭の事情によって大きく異なるため、そのまま比べる意義が低い数値が含まれている。「住居」「自動車等購入」「贈与金」「仕送り金」がそれだ。これらを除いた「住居等を除く」ベースにそろえて比べるべき。

    第2に人員数の違い。調査対象世帯の人員数平均で割って、自分の世帯人員をかける調整をしてから比較するべき。

    第3に総務省の家計調査は浪費家家庭が調査サンプルに入っていていてもそれを含めて平均されている点。消費の下限にマイナスはないが上限は天井知らず。このため調査結果の「平均」は普通の一般家庭のそれよりも高めの数値となることに留意するべき。

    ちなみに2024年の調査結果(二人世帯)における「住居等を除く」消費支出は月平均230,030円。これを人員調整したものにインフレ調整を行って家賃とローンの月返済額を加えたものを毎月の生計費のベンチマークとすればよい。

    ちなみにインフレ調整に関してはインフレ3%を仮定して1.03倍するとよい。日銀による2025年度のコアコアCPI見通しは7月末時点で+2.8%(政策委員中央値)、足元8月度の実績が+3.3%となっている。

  • 家計の把握について(支出編その1)

    まず、資産を増やしたければ最初にすべきことは支出の把握であると言いきっておこう。

    だまされたと思って1ヶ月だけでも家計簿をつけてほしい。つけたことによって、1ヶ月生活するのにいくらかかっているのかがわかる。これを生計費と呼ぼう。

    この生計費の内訳と明細を眺めるうちに、自分が1ヶ月生きていくのに最低限必要な生計費が見えてくる。

    途端に、目安となるベンチマークが見えてきて現実的な目標が定まるようになる。「今月はベンチマークからあまり乖離しないように生活しよう」とか「○歳になるまでにベンチマーク12か月分の25倍の資産を作ろう」という具合にだ。目標が定まれば達成のための戦略を考えるようにだってなる。

    さらに、ベンチマークができれば、それを上回わる支出についてはその価値について考えるようになる。結果、無駄遣いが減り金が溜まりだす。金持ちはケチが多いと言われる所以(ゆえん)はこの辺りにあるのかもしれない。

    なお、価値を見ようとする姿勢は投資において成功するためにも身に着けておくべきスキルでもある。

    家計簿を通して支出を把握することは資産形成にプラスのスパイラルをもたらしやすいのだ。